これまでに学んできた 常微分 は、関数の変数が 1 つしかない 1 変数関数 に対するものでした。この微分を2変数以上の多変数関数に適用したものが、偏微分です。偏微分によって得られる微分係数を 偏微分係数 、導関数を 偏導関数 といいます。 下に $z = f(x,y) = x^2 + y^2$ のグラフを示します。2変数関数はこのように3次元空間に曲面として図示することができます。 偏微分グラフ この2変数関数を $x$ について偏微分してみましょう。$x$ について偏微分するとき、$y$ は定数として扱います。 $z = f(x,y) = x^2 + y^2$ という式が与えられたとき、この式を $y$ を定数として、$x$ で偏微分すると、 $\dfrac{\partial f}{\partial x} = 2x + y^2$ となります。 $y$ について偏微分するときは $x$ を定数として偏微分します。 偏微分の表し方は複数あります。関数 $z = f(x,y)$ を $x$ で偏微分した偏導関数は、以下のようにな記号で表わされます。 $\dfrac{\partial f(x,y)}{\partial x}$、  $f_{x}(x,y)$、  $\dfrac{\partial f}{\partial x}$ ($ f(x,y)$ を $f$ と略記した場合)、  $f_{x}$ ($ f(x,y)$ を $f$ と略記した場合) $x$ について偏微分するとき $y$ が定数として扱えるということをグラフを見ながらビジュアル的にイメージを掴みましょう。 $z = f(x,y) = x^2 + y^2$ という2変数関数を $x$ について偏微分するということ。これは、2変数関数のxの変化率だけを調べるということ。つまり、$y$ は任意の定数として扱ってよいのです。 一例として、$y = 2$ のとき、つまり $z = f(x,y) = x^2 + 4$ について考えてみましょう。 $z = f(x,y) = x^2 + 4$ は上記の3次元グラフ $z = f(x,y) = x^2 + y^2$ を $y = 2$ の断面で切り取った以下のようなグラフになります。 偏微分グラフ このグラフの $x$ の変化率を出せと言われたら、微分を理解している方にとっては簡単だと思います。 $\dfrac{\partial z}{\partial x} = \dfrac{\partial f(x,y)}{\partial x} = 2x + 4$ $x$ と $y$ の2変数関数を $x$ について偏微分するというのは、$y$ は任意の数として $x$ で微分するということ。 偏微分がどんなものか理解いただけたでしょうか。
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